コラム

上唇の若返り ・人中短縮 のお話

最近、リップリフト(人中短縮)他院術後の瘢痕きずあと修正相談の患者様が何人かいらっしゃったのでちょっと調べてみました。

 

歳を重ねることで皮下のコラーゲンやエラスチンは劣化し口輪筋繊維は萎縮します。口輪筋繊維に直交する鼻下の皮膚は長く伸び、唇は痩せ、さらに上顎歯槽骨の骨吸収により口周りの骨格も減ってくることで唇全体がすぼんでくるようになります。
逆に赤唇の健康的な張り、魅力的な鼻下〜上唇のカールを補ってあげることで若々しさ、かわいらしさの演出につながるのですね。ヒアルロン酸注入による唇の増強(Lip Enhancement)はお手軽で良い施術ですが、人中長をごまかすには少々限界があります。

 

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2021年の論文です。




・上唇形成術(cheiloplasty )に関する52本の論文をスクリーニングして17本2265人のデータを解析。 93.6%がリップリフトに関するものであった
・女性88.3%、男性11.7%、平均年齢45歳(30~81歳)
・民族差に関してはデータ不十分であった
・皮切デザインはbull’s horn excision pattern (牛の角みたいなデザインで外側まで切り上げる)が71.7%、wavy ellipse excision(外まで切らない)が18.1%であった。その他short scar (4.0%)など
・最も多い合併症は瘢痕形成 (6.7~10.5%)
・患者満足度調査を行った3論文では、bull’s horn excision後に「満足した」または「非常に満足した」と回答した患者は92.1%であった。short scar の満足度は100%に近かったが、口輪筋切除を受けた患者の満足度は74.0%と低かった。

などなど
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著者自らが、術式の標準化がなされていないこと、データのばらつきなどから今回はシステマティックレビューとしての限界を認識しています。利用可能なデータの強度が不足していることにより研究間の比較は不可能であったと結論づけています😅

 

人中が長いと言ってもタイプはさまざまで、加齢によって伸びてしまったもの、若年者でも骨格によるもの、鼻形成や輪郭形成の後に全体のバランスが変わったもの、過度の口唇フィラー注入によるものなどなど、どのようなタイプか、手術適応、皮切デザイン、内部処理法も含めてかなりしっかり考える必要がありそうです。


医学的には骨格矯正が優先されるタイプと思われても、より低侵襲な代替案(妥協案)として、もしくは補助的な治療の選択肢になりうるかとは思いますが、患者さんにもそこまでしっかり話して納得して頂くことが大事ですね。「鼻下長い?ハイ皮膚切り取って詰めちゃいましょう」なんて十分なアセスメントもなく機械的にやる手術ではありません。

 

ただ結局の所、実際に修正で当院に来られる患者様の声を聞いても、人中短縮の最大の課題はやはり瘢痕、キズアトなんだろうと思います。
それから、唇と皮膚の境目を切除する方法もありますが、他院の口角挙上術の仕上がりを見ると、キズアトそのものは綺麗でも、赤唇縁とホワイトロールの組織破壊は審美的に良くないんだろうなあと改めて思うことが多いです。

 

なかなか奥が深い手術です、リップリフト。

 

 

 

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