コラム

ヒアルロニダーゼの適切な使用法

まだ大学病院にいる頃、ヒアルロン酸注入後の血管内塞栓の患者様の治療をしていた時にヒアルロニダーゼの使用方法について調べた事がありました。具体的な使用法についてしっかり書いてある資料があまりにも無かったので、その時かきあつめた資料(英語論文65編)で論文をまとめました。

      主な著書・論文

野本俊一, 小川令. ヒアルロニダーゼの使用方法に関する考察. 日本美容外科学会会報 2018;40:51-61.

 

卸業者様の話によると、2018年にJSAPS機関紙にこの論文が掲載されて以来、発注数が爆発的に増え、全国のクリニックでヒアルロン酸フィラーとセットでヒアルロニダーゼが常備されるようになったらしいです。
ちょっと意外でした。 大手美容クリニックでは昔から常備してあったと思いますし、自分もヒアルロニダーゼの存在自体は知ってはいましたが。 やはりそこまでは世間で一般的なものでなかったのですね。

成分がヒツジ由来とかヒト由来とか、どんな症状で何単位使用するべきか、などを皆様が気にするようにきっかけを作れたこと、またヒアルロン酸の分解注射が全国どこでも受けられるようになったのは患者様の安全のためには大変良いことであったと思います。
 
大事なことを抜粋して改めて強調しておきます。
・皮膚壊死や失明などの致命的な合併症が予想される場合は、躊躇せず十分量を使用すること。
アレルギーを起こしやすい製剤であるので、万が一アナフィラキシーショック等を起こしても救命処置に対応できる医師・施設が望ましい。
本来は美容目的のヒアルロン酸フィラーを溶かすための製剤ではありません。この目的で認可されたヒアルロニダーゼは存在しません。参考までに米国FDAが認可したヒアルロニダーゼの効用は、皮下点滴療法の際の補助、抗がん剤の点滴漏れなど毒性物質の血管外漏出の治療、皮下尿路造影法の補助などの項目についてです。本来は生体内細胞外基質(自分自身のヒアルロン酸)を分解することで、拡散補助剤として使用すべき薬剤なのです。
 
ヒアルロニダーゼの使用による有害事象の可能性もゼロでは無いということ。
厳密には、依然として未承認品の適応外使用であることを忘れてはいけません。
 
この論文を書いてる時、ヒアルロニダーゼがあるから大丈夫!✌みたいな売り方をする医者やクリニックが増えたら嫌だなあと懸念していましたが。
見事にそんな感じになりましたね(-_-;)
「何かあったら溶かせばいいや」が医者にも患者さんにも、ずいぶん気軽に広まっている気がします。

 
あくまでも必要性が上回る時だけに、慎重に使用すべきと思います。
 
 

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